漫画「ベルセルク」37巻の感想――「遠い日の春花」が良かった


 ベルセルクの37巻を読みました。
 回想場面の「遠い日の春花」は、久々に読み応えのある小ストーリーでした。
 けど、少し唐突という気もしました。
 あの話は伏線に違いないと言う人もいますが、確かにそうかもしれません。
 続刊で、あのチッチという妖精が出てくるかもしれません。
 じゃないと、あの回想場面はなんだったの? ということになります。

「遠い日の春花」のストーリーを説明します。
 ガッツがまだ傭兵だった頃の話。
 回想場面の回想(ややこしい)で、ガンビーノも出てきます。

 ガッツの陣営は負け戦でした。
 ガッツは捕虜として連行されます。
 どうやら怪我をしていて、体力は万全ではありません。
 同じ捕虜でマルティノというおっさんがいて、ガッツの世話を焼きます。
 ガッツは「売りはやらない」と宣言します。
 確かあのデブの、ドノパンだったか、ガンビーノに売られて、オカマを掘られたエピソード(ベルセルク4巻)がありましたが、それを思い出しました。

 ガッツにとって、マルティノが世話を焼いてくれる理由が分からないようです。
 だからマルティノがホモなんだろうと推察して「売りはやらない」と言います。

 マルティノはガッツに冷たくあしらわれても、気分を害する様子もなく、一期一会的なことを話します。
 ガッツがなんとなく心を許しかけた頃、ちょうど城の手前に差し掛かりました。
 マルティノは、ガッツの手かせを解き「逃げろ」と言います。
 ガッツは借り必ず返すと言って、逃げ出します。けど、怪我のせいなのか追っ手に呆気なく捕まってしまいます。
 マルティノはその騒ぎに乗じて逃げ出したのでした。つまり、ガッツをオトリに使いました。

 ガッツは城に連れて行かれ、牢獄に入れられます。
 子爵(城主?)と呼ばれる男性が会いに来て、明日息子と試合をしろと命じます。
 息子は初陣が近い。
 景気づけのために誰かを血祭りに上げたい。
 その相手にお前を命じよう、とのこと。

 牢獄でガッツがひとり過ごしていると、花の妖精が現れます。
 最初に牢獄に入れられたとき、ネズミがいて、そのネズミが花をかじろうとしていたところ、ガッツがそのネズミを捕まえて食べました。
 つまりガッツは花の精にとっては命の恩人にあたります。

 ガッツ自身は、幻覚を見ていると思っている様子です。
 花の妖精はチッチと名乗り、ガッツの怪我を癒やしてくれます。
 ひとりで寂しいとチッチが言うと、ガッツは、城の近くに丘があり、そこにお前の仲間がたくさんいるから連れて行ってやると言います。

 翌日、ガッツは子爵の息子と試合をします。
 ガッツは空腹で、怪我も完全には癒えてないし、おまけに剣は刃が潰してあります。
 若干危ない部分はあるけれど、その息子を打ち倒し、人質にとって、城から逃げだそうとします。
 そこに、完全武装のマルティノたちが急襲をかけます。
 逃げ出したマルティノは部隊を引き連れて戻ってきました。
 ガッツは城から去り、牢獄に咲いていた花を丘に持っていきます。

 チッチがカワイイです。
 ほろりと来るストーリーです。

 けど……あえて、苦言を申すというわけでもないけど……ネズミが可哀想だと思いました。
 食べられるだけの存在。

「遠い日の春花」は、久々に読み応えのあるエピソードでした。
 ベルセルクは本流のストーリーもいいけど、今回の回想みたいな話も面白いです。

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