戦記物はいろいろと読みましたが、空の戦いだと坂井三郎氏の「大空のサムライ」が面白かったです。
陸の戦いだと本書「最悪の戦場に奇蹟はなかった―ガダルカナル、インパール戦記」が好きです。
日本兵は、かつては悪の代名詞的なニュアンスがありました。
アジアを侵略して、悪いことをたくさんした、恥ずべき存在であると。
いまは日本軍の評価は、一部では悪いけど、主流としては、どちらかというと気の毒な存在……に変わってきたように感じます。
少なくとも一般の兵士は、軍の上層部に騙されて、嫌々ながら侵略戦争を行ったというような。
侵略というか、アジアにおける英米の植民地軍と戦ったわけで、一言に「侵略」と表現するのは抵抗はあります。
「最悪の戦場に奇蹟はなかった―ガダルカナル、インパール戦記」は、下っ端の、生の日本兵の戦場手記です。
餓島と呼ばれたガダルカナル、そのあとは白骨街道で有名なインパールも出てきます。
筆者はどちらも経験して生き残っています。
ガダルカナルとインパールだから、さぞ飢えていただろうと思うけど、米は結構持っていたようで、あとはトカゲを捕まえて焼いたり、蛇の丸焼きとか色々と出てきます。
灯り用ラードを白米にかけて食べた、というのがあって、灯り用というのがちょっと気になるけど、バターご飯ならぬラードご飯なら、まあまあ美味しそうです(飢えているときなら)。
「最悪の戦場に奇蹟はなかった」というタイトルですが、筆者は、ガダルカナル戦とインパール戦の2つの戦場から生還しているだけで十分奇蹟です。
戦記物が好きならおすすめできる本です。
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