飲食店の「味が落ちた」という評判


「あそこの店は味が落ちた」
 よく聞く台詞です。

 実際に味が落ちているのかもしれません。
 しかし、以前と変わってないのかもしれません。

 かつて飲食店で働いていた頃、ホタテの味が落ちたと言われたことがありましたが、ホタテの仕入れ先を変えたとか、品質を下げた事実はありませんでした。以前と同じ。
 ただ、鮮度については分かりません。
 そのお客が以前食べたときは、鮮度が高かったのかもしれない。今回は若干鮮度が落ちていたのかもしれない。
 あと、ホタテなどの自然の物は、そのサイズにより分けられているとはいえ、多少のばらつきは出てくるし、オスやメスの違い、若いかそうではないかなどによっても味も異なると思われます。

 食べる側の心持ちというか、心情というか、思い込みとは言わないけど、評判の良いお店で食事をしたとき、最初はたいていは美味しいと思うものです。
 続けて何度か食べると、以前美味しかったものがそうでもないと感じるようになることはよくあります。
 つまり、久しぶりににぎり寿司を食べると美味しい。
 極端な話、1日何度もぎり寿司を食べて、それが何日も続くと、にぎり寿司を美味しいと思えなくなります。

 インスタント食品でも、久しぶりに食べると美味しいけど、常食すると美味しいとは思えなくなります。

 おいしいと評判のお店に行った。実際においしかった。そのおいしさの記憶が残った。
 数日後、またその店に行った。まだおいしい。けど初回に比べるとそこまでおいしいとは思えない。
 数ヶ月後、またその店に行った。おいしいと思えなかった(慣れた、飽きた)。だから味が落ちたと思い込む――ということになるのかなと思います。
 本当に味が落ちている場合もあると思いますが。

 自分の場合、外食で味が落ちたと思うことはあまりないけど「味見してねえ」と思うことはよくあります。
 しょっぱいとか薄いとか。

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