ランチェスターの法則というのがあります。
最近だとビジネス書でも関連書籍があるようですが読んだことはありません。
書いてあることはだいたい予測できます。
ランチェスターの法則を知ったのは、AOC(エイジオブエンパイア、AOE2、AOFF)というゲームがきっかけです。
AOCというゲームは戦争を題材にしています。
中盤戦は、騎士の数で勝負の流れが決まります。
馬の数が多い方が有利です。
厳密にいうと、文明によっても馬の強さというかテクのありなし(血統とか繁殖とか)、はたまた鎧一段とか二段とかの差があったりしますが、基本は馬の数で考えます。
たとえば、敵の馬が10頭いるとする。
こちらが8頭。
8対10の戦いです。
素人考えというか、まともに考えて、8のほうが不利だけど、やり方によってもほぼ互角に戦えたりするんじゃないかと思えます。もし8側が負けるとしても、相手の10を2まで減らせるはずと。
しかし実際に戦ってみると…
8体の騎士が10体の騎士に勝つことはありません。
しかも、10騎士の残りは2ではなく、4~5になります。
それはなぜか。
戦力は足し算ではなく、二乗になるからです。
8対10の戦いは実は64対100になります。
7対10だとさらに顕著で、49対100で、2倍の差になります。
数を見極めるのも難しいというか、AOCはリアルタイムストラテジーに分類されるゲームなので、じっくり腰を据えて考えることはできません。
視界の概念もあり、敵の陣地は見えず、従って敵の数は自らの視界に入ってきた分しか見えません。
敵の数と味方の数を素早く数え、どちらが勝利するかを判断しなければならないのでシビアです。
AOCの初心者は、味方の数が敵の数より劣っていても、突撃する傾向にあります。
味方の数を実際より多く見積もり、敵の数を実際よりも少なく見積もるせいかもしれません。もしくは少しぐらい負けていてもどうにかなると考えるようです。
上手な人は、味方の数が少ないときには戦いません。逃げます。
逃げることは恥ずかしい行為に思えますが、そんなことは言っていられません。
騎士同士が戦い、数の少ない方は全滅します。
そのあとどうなるか。
町の人(農民)は敵の騎士によって殺されます。町の中心に農民を収納することはできますが、そうすると資源の採取ができなくて資源量で負けます。すると、軍隊の生産ができません。
もし自分がAOCをプレイしていて、敵の馬が寡兵のせいで徹底的に逃げる場合、手強い相手と思います(強い人は最初から騎士の数が多いから逃げることは少ないですが)。
負け戦も1度だけなら大したことはありません。しかしそれが2回3回と続いていけば、コストの損失は上乗せされていきます。
最初の差は大したことはないけど何度も繰り返せば、もう逆転不可能なスコアの差になります。
…ランチェスターの法則のビジネス本は、上記のようなことが書いてあるんでしょう。たぶん。
不利なら戦うな、時期を待て、みたいな。
とは言っても、ビジネスの世界は数式で割り切れないところがあるので難しいところです。
ビジネスの世界にランチェスターの法則が成り立つなら、大企業が凋落することはあり得ません。
けれども知っていて損はないと思います。
知らなければ、8対10でも勝負になりそうという錯覚を抱きますから。
知っていれば、8をどうにかして11にしてから勝負すれば、論理的には負けることはありません。
織田信長
織田信長は戦争ばかりしていましたが、寡兵で戦ったのは3回しかないそうです。
稲生の戦い(1556)
桶狭間の戦い(1600)
天王寺の戦い(1576)
上記三つの戦いの背景を考えると、戦うという選択肢しかなかったようです。
つまり、織田信長は、戦をするとき、味方が寡兵であれば戦を避けていたと予測できます。
数が劣っていれば戦いを避けるのは当たり前ですが、その当たり前のことを徹底できる人はなかなかいないと思います。
上記三つの戦いすべてに勝利している点にも、織田信長の非凡さを感じます。
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