新型コロナと利用可能性ヒューリスティック

 最近は新型コロナ関連のニュースが目立ちます。
 季節は春に移り変わろうとしているこの頃ですがまだ朝晩は冷え込みますし、風邪気味の人も多いと思います。
 発熱したり咳が出たりすると、新型コロナに感染したかなと心配になったりもするはずです。
 しかし、渡航歴がない、ライブハウスやスポーツジムにも行っていない、人の密集するような場所を避けているなら、それほど危機意識は持たなくてもいいかもしれません。
 利用可能性ヒューリスティックに照らして考えると、その体調不良はおそらくただの風邪です。

 利用可能性ヒューリスティックを簡単に説明すると、ある事象を、よく見かける情報と結びつけて考えてしまったり、ステレオタイプ的な考え方に偏ってしまう傾向のことを言います。
 たとえば、Aさんという、めがねをかけた、物静かで無口な男性がいるとします。
 Aさんの職業は何か。
 図書館司書か農業従事者か。

 多くの人は、Aさんの職業を図書館司書と考えるそうです。
 しかし、図書館司書と農業従事者は人口比でみると後者が数十倍多いので、確率的にはAさんの生業は農業従事者である可能性が高くなります。

 利用可能性ヒューリスティックについては「ファスト&スロー」が詳しいので興味がある人は手に取ってみてください。

 連日新型コロナウィルス関連のニュースに接していると、いざ自分が体調不良になったとき「新型コロナに感染したかも……」と思ってしまうのも無理からぬことではありますが……
 日本での新型コロナウィルスの感染者は現時点では1500人ほどなので、もし風邪のような症状が出たとしても、圧倒的にただの風邪である可能性が高いです。
 ……本当に感染者が1500人しかいないのかなとの疑問はあります。個人的には1万人ぐらいいてもおかしくないと思います。

 新型コロナウィルスにかかると嗅覚や味覚の喪失という症状が現れる場合があるそうです。
 ウイルス性の風邪の場合、嗅覚や味覚の喪失は珍しいことではないようなので、嗅覚や味覚が喪失したからといって新型コロナウィルスに感染したとは限りません。
 やはりただの風邪である可能性が高いです。

 日本全国で感染者が1500人程度なら利用可能性ヒューリスティックを持ち出して「心配ない」ということも可能ですが、どうやら経路不明の市中感染が広がっているようなので、4月中には感染者が激増する事態になるかもしれません。
 一見、日本は封じ込めに成功しているようにみえますが――時間差で欧米のようになってしまう可能性もあるので注意が必要だと思います。

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