お金というものの力のすごさ

 SNSで、とある居酒屋の但し書き? 注意書き? が正論とのことで話題になっていました。
 曰く「おい、ビールひとつ」などの注文する横柄な態度なお客は来なくて良い、初対面なら敬語を使うべき云々。

 接客業をしたことがありますが、横柄な客は確かに嫌なものです。

 けれども……お金をもらっている以上は、仕方がないとも思います。
 お金という存在はそれぐらい強烈な力を持っています。

 自分は接客の経験があるので、店員さんを人間と思っているし、基本敬語で話しかけますし、できるだけ相手に対して失礼のないように接しているつもりです。

 とある居酒屋の但し書き。
 書いた人はお金の威力を知らないのだと思います。
 まあしかし、そういうことを言いたい気持ちは分かります。

 だめな部分というか、良くないところなど、なんでもそうですが、物事は、自分の思い通りにはいきません。
 つまり、自分が、周りに合わせないといけません。
 自分が変わるのではなく周りを変えようとするとたいてい失敗します。

 これは気に入らない、だから自分でルールを作ってしまおうという人は、時々見かけますが、だいたいおかしな人です。
 ヤフオクの出品者でも、自分本位の注意書きをずらっと書いてる人がいますが傍から見る下品というか、思考が自分に向きすぎだろうと感じます。

 誰かが「すべての労働は売春と同じ」と言いましたが、本質をついている言葉と思います。
 つまるところ、お金があれば、人の時間を買うことができます。人の時間というのは命に等しいです。
※「すべての労働は売春と同じ」という言葉はいろいろと解釈の分かれるところだとは思いますが。

 お金があれば、つまり人の命を買うこともできます。

 とある居酒屋の但し書きに話を戻します。
「横柄な態度のお客は来なくて良い――」
 これを突き詰めていけば……「自分の気に入らない人間は店に来なくて良い」ということなりますが、果たしてそれで商売ができるのか疑問です。
 時々頑固オヤジの店みたいなものがありますが、ああいう路線なのかもしれませんが。

 自分は店員さんに対して敬意をもって接しているつもりですが、もし飲食店でくだんの但し書きを見つけたら、嫌な気持ちになります。
 まさか食べずに店を出ることはないけど、2度と行かないです。
 なぜなら、あれを書いた人は、お金の威力を舐めてると思うから。
 ボランティアでやっているならそういう但し書きがあっても仕方がないと思いますが。

 そういえば……お金の威力の話からは離れますが。
 偉そうにすることによって、自分の重要度を上げるというか、自分を実際以上に大きく見せることが可能なので、他人に横柄な態度をとる人間は、そういうことで成功体験でもあるのかもしれません。
 しょうもない成功体験だと思いますが。

 一部の人間は、偉そうにしている人間をみて「偉い」と錯覚するのでしょう。
 しょうもない人間が偉そうにして、しょうもない人間がそれを祭り上げている。
 優しい世界ならぬ奇妙な錯覚の世界。

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