交番の警官が襲われて拳銃を奪われる事件が時々発生しますが、犯人が元自衛官である確率が高いようです。
記憶にある限り、以下の事件が思い浮かびます。
1989年の中村橋派出所警官殺害事件
2018年の富山の交番襲撃
そして今回の大阪府警吹田署の千里山交番の事件
大阪府警吹田署の千里山交番の事件の容疑者は、元海上自衛官だそうですが、半年ほどの経験しかないようです。
海上自衛隊の教育のシステムについては詳しくないのでよく分かりませんが、陸上自衛隊の場合だと、入隊から半年間は教育期間です。
入隊して3ヶ月は前期教育と呼ばれ、基本教練や小銃などの取り扱い、行軍や初歩的な戦闘訓練などを行います。
前期教育のあとは、後期教育といって職種の専門的な訓練を受けます。
現在の陸上自衛隊は、近接戦闘の訓練も行っているようですが、通常、普通科、もしくはそれに準ずる職種の隊員しかそのような訓練は行わないはずで、しかも今回の犯人は元海上自衛官ですから、特殊な訓練を受けていたとは思えないです。
陸自の前期教育ではナイフを扱う訓練はありません。
銃剣格闘という、小銃に銃剣に装着して突きなどを行う訓練は、部隊配属後にはありますが、実戦を想定した訓練ではないです。
何が言いたいかというと、自衛隊は人を殺す訓練をしているのかについて、自衛隊歴半年しかない隊員が、そのような訓練はまず受けないと思います。
中央即応連隊とか西部方面普通科連隊(水陸機動団)とか特殊作戦群とか冬期戦伎教育隊とか第一空挺団とかの基幹隊員なら、敵の歩哨に対する襲撃訓練などの経験はあるかもしれませんが。
拳銃射撃は、通常だと幹部自衛官のみです(一部例外もあります)。
任期制隊員は、拳銃を扱うことはほぼありません。
航空自衛隊の警備職だと、拳銃射撃を行うと聞いたことがあります。特殊作戦群の隊員だと、ひょっとすると士でも拳銃の訓練はあるかもしれません。
小銃射撃に慣れていれば、拳銃はおもちゃのようなものなので、特に苦もなく取り扱えるかもしれません。
今回の犯人は自衛隊歴半年ですから、射撃は数えるほどしか行っていないはずです。
教習射撃x2、検定射撃x2の計4回(25メートル射撃を含めると5回)ほどだと思います。
ようやく緊張感が薄れるぐらいの経験値です。
以上のことから、今回の事件は、元自衛官というのは偶然なのだろうと思います。
元自衛官だから、警官を襲って拳銃を奪えたとは思えないです。
防刃ベストの隙間から刺している点、短時間で拳銃を奪っている点から、手慣れた感じは受けますが、経験が半年ほどの自衛官なんてぺーぺーもいいところで、そんなぺーぺーがこんな大それたことを起こしうるとは個人的には思えないです。
偶然が重なった結果に思えます。
もしくは、元々ナイフや拳銃、格闘術に精通していたのかもしれません。
なぜ自衛隊を半年で辞めたのかは分かりませんが、問題を起こしたわけでもないとすると、適性がないと判断され、表向きは依願退職だけど、そのように教官から仕向けられた可能性はあります。
追記
予備自の訓練に行って現在の自衛隊の様子を垣間見てきました。
訓練の内容は公表できないので詳しくは書きませんが、今の陸上自衛隊は20年前と比べると、格段に戦える組織になっていると感じました。
普通科連隊の教官や助教クラスの自衛官の戦闘能力は、世界レベルに達していると思います。
教官や助教クラスの自衛隊歴はだいたい10~15年ぐらいです。
教官や助教クラスの戦闘能力をもった人間なら、交番を襲って拳銃を奪取するのは造作のないことのように思えます。
やはり半年程度の経験では素人同然(しかも海上自衛隊)であって、元自衛官というのは関係がないと思いました。
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