坂井三郎さんの「大空のサムライ」を読みました。
氏の著作はほかにもいくつか読みましたが「大空のサムライ」が一番おもしろかったです。
大東亜戦争関連の書籍のなかでも、トップクラスの面白さだと思います。
本人が書いている訳ではなく、ライターの代筆による作品のようです。
事実確認は本人がしているとは思いますが。
前半は、坂井氏の生い立ちから海軍入隊、中国戦線での戦い、そして太平洋戦争開戦までが綴られています。
この前半部分は若干ながら退屈気味で冗長ですが、中盤付近、ソロモン諸島ラバウルでの戦いに入ると、俄然と面白くなってきます。
ガダルカナル上空で、坂井氏の零戦は敵の戦闘機編隊を発見し、その後方から攻撃を試みます。
しかし敵は戦闘機群ではなく、複座型のドーントレスの一群でした。
坂井氏の零戦は、ドーントレスの後部銃座の集中砲火を浴びます。
頭部に銃弾を受け、片目にガラスの破片が入るという重傷を負いながら、坂井氏の零戦はラバウルへと帰還を果たします。
この部分は、生々しい臨場感あってよかったです。
確実にラバウルに帰り着くことは分かっていても手に汗握る展開でした。
戦友たちとのやりとりに、人間味がある部分が多く感じられました。
今とは時代は違うけど、ベースには日本人としてのアイデンティティを感じます。
後半、内地へと帰り、パイロットの教官としての道を歩みます。
戦況は悪化し、坂井氏は戦闘機部隊に志願して、硫黄島へと向かいます。
最後は少し尻すぼみ、という感じで呆気ない終わり方でした。
フィクションでは味わえない、生々しい体験談、回想録は一読する価値があると思います。
ゴーストライターが書いているのは割り引いて考える必要はありますが、読んでるときは無我夢中で気になりませんでした。
坂井氏が、世界でもっとも速く、もっとも強かった、というのは誇張ですが、一流の戦闘機パイロットのひとりであったことは間違いないと思います。
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