以前、調理師として働いていた頃の話。
厨房には、アルバイトの中国人留学生がいました。
どんな話の流れだったのかは忘れましたが、彼はこう言いました。
「料理を作る仕事はくだらない」
一応自分も調理の仕事に携わってはいるけど、そのとき、色々と別のこともやっていたので、自分をバカにするためにその中国人がそんなことを言った訳ではないです。
中国人は続けます。
「チーフ(その場にはいない)には申し訳ないけど、こんな仕事(調理)は誰でもできるし、将来なんの役にも立たない」
自分はその中国人の言うことに、ほぼ同意でした。
なぜ「ほぼ」なのか、という点だけど、飲食店の厨房で働くと、たいていの人間は料理が出来るようになります。
自分で料理ができるのは大きな利点です。
2~4年間ぐらいであれば、修行として厨房で働くのも悪くないです。
それ以上の長期間になると、あまり意味はないかもしれません。
志があって調理師をやってる人には当てはまらないです。
自分の店を持ちたいとかそんな理由があるなら調理の仕事をやってもいいんじゃないでしょうか。
料理を食べたお客さんが「美味しい」と言ってくれる。
それは確かに調理師の醍醐味なのかもしれません。
けど、料理は食べたら消えてなくなるものです。
むなしいです。
調理の仕事がくだらない点ですが、人によって考え方は違うと思います。
料理を作るのが好きで好きでたまらない人もいるだろうし。
私は、中国人から「料理を作る仕事はくだらない」と言われて「確かにそうだな……」と納得しました。
話は戻りますが、調理師の仕事だけがつまらないとは思いません。
突き詰めていけば、世の中にある仕事は、そのほとんどは「面白くないもの」なのではないでしょうか。
好きなことを、好きなだけやって、それで報酬をもらえたら良いけど、そんな恵まれた環境にいる人はごくわずかだと思います。
好きなことでも仕事になると、途端に面白くなくなる、ともよく聞きます。
外野から見たら、楽しそうだったり、簡単そうだったりする仕事も、裏側まで知れば決してそんなに楽ではないし簡単でもない、というのは珍しくありません。
隣の芝生は青く見える、ということなのかもしれません。
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