海外ドラマ「ER」シーズン3の感想

 ERシーズン3の感想です。

 ERのシーズン3、シーズン2も感じましたが、主要キャストが定着して完成度が前シーズンより更にアップしていると思います。
 シーズン3では、ルイス先生が去ります。
 グリーン先生とちょっといい仲になりそうな感じで結局はならず……まあグリーン先生はどうでもいいです。

 シーズン3のポイントはいくつかありますが、その一つはERアシスタントであるジェニー・ブレのHIVの告白だと思います。
 HIVは今でも(2020年)、完治できる病気ではないですが、薬などで発症を抑えることができるようになりました。シーズン3の放送当時だと不治の病として恐れられていたはずです。

 あとは、シーズンの後半において、グリーン先生がトイレで暴漢に襲われる場面も衝撃的です。
 犯人については、分からずじまいです。
 グリーン先生は容疑者のリストを警察に渡して警察は各人のアリバイを調べたそうですが全員シロとのこと。
 アリバイがあるにせよ、人を雇って襲わせることもできますから完全にリストのメンバーがシロとはいえません。

 もしかすると犯人は、病院に恨みを持つ人間で、病院関係者なら誰でも良かった的なことかもしれません。

 以下は「ER」シーズン3における個人的な人物評です。

ジョン・カーター
 カーターはシーズン2の終わりで医大を卒業し、ドクターになりました。
 まだまだ初々しいです。

 ガントの件のあとは、師匠であるベントンとの仲が深まったように感じます。
 外科を専攻していましたが終盤では救急医療に変更します。アンスポーと揉めますが、ちょっと自分勝手かなと感じました。アンスポーのほうが正しいと思います。しかし、カーターの、患者に寄り添いたいという気持ちも分かります。

ピーター・ベントン
 1話「ドクターカーターではありませんか」では、自身のHIVの検査結果を電話で聞く場面があります。
 電話の相手がなんといったのか分かりませんが、表情が微妙で演技が上手いです。
 まあベントンはクソ野郎です。
 ジェニー・ブレや、ガントとの接し方やその最後を知っているから、そう思うのかもしれません。

 6話では、新生児の肝臓を傷つけてしまい、新生児は危篤状態になってICUに運ばれます。ガントが慰めようとしますがベントンは「偉ぶるな」と目を合わせません。

 ベントン先生は本当にクソ野郎です。
 嫌なやつです。
 けれど好きなキャストです。
 これが逆に、ジェニーに対して献身的にケアしたり、ガントに対して愛情あふれる指導をしたり、相手のことを思いやる医者として描かれていたら、嘘くさくて大嫌いになると思います。

 ガントについては、事故なのか自殺なのか。
 自殺に近い事故なのかなと思います。
 遺書はないし、警察の見解は事故ということになっています。
 しかし、ベントンがしっかりとガントを管理していなかった結果かなとも思います。
 ベントン曰く、ガントのことはほとんど考えていなかった、あえて厳しくしたわけではないとのこと。ただ仕事を押しつけていたそうなので。

マーク・グリーン
 個人的にはあまり好きじゃないけどERの顔といってもいい中心人物。
 シーズン1で、妊婦を誤診した件はまだ尾を引いています。
 本人は、誤診ではないと言いはするものの、心の中ではそれが嘘だとわかっているようです。

 16話「信念」では、37歳のダウン症の患者がきて、心臓移植が必要だけど、心臓病科は移植に反対します。
 患者は精神薄弱の障害者で、移植のリスクを理解できず、また移植をしたとしても術後の療法についても理解できないし、母親が亡くなれば施設行きになるとのこと。
 移植を待つ患者は3500人いるそうです。
 上記の理由から心臓移植は望みがないとのことですが、グリーン先生は、障害者であっても自分たちと同じ人間であるとの考え方をして、なんとかしようと奔走します。

 数十年前に見たときは、移植に反対する医者のほうが正しいと思っていたし、グリーンのやつは変な正義感だしやがって、やっぱりいけ好かないやつだ! なんて思ったりもしました。
 今回見直したとき、自分はグリーン先生に共感できました。
 たとえば、お金をいくら稼ごうと、逆にお金を稼ぐ力がなかろうと、大きなところから、それこそ宇宙の広大さとかに比べたら、そんなことは些細な問題に過ぎません。
 障害があろうとなかろうと、それは人間という生き物にとっては些細なことなのではないかと思います(障害を持っている側からすれば、大きなことのように思えるかもしれませんが)。
 結局のところ母親が移植を拒否します。母親の拒否する理由も納得できます。正解はないのかなとも思います。

 17話「偏見」では、黒人と白人がERに運び込まれて、黒人は最初は軽傷に見えたけど実は重傷で、オペ室に運ばれますが亡くなります。黒人はバスケの選手で、事件に巻き込まれて銃創を負いました。
 黒人の兄が、グリーンに「黒人だから差別した」と騒ぎ立てます。
 結論からいうとこの問題は運が悪かったのだろうと思います。
 グリーン先生は、おそらくあからさまには偏見を持ってないはずです。
 黒人の兄のほうがけんか腰で騒ぎすぎです。あのような対応だと物事はスムーズに進みません。

モーゲンスタン
 ER部長。
 直接ERに顔を出すことはまれですが、時折やってきて、強いインパクトを残す、マークたちの上司。
 あとのシーズンのことを知っていると、盛者必衰だなーと感慨深いです。
 まだ衰えは全然見えません。
 ERの面白さは色々とあると思うけど、キャストが変容していくところは良いです。
 カーターは成長して、ベントンもそれなりに成長して……そして有能だった人物が落ちぶれていきます。

アンスポー
 診療部長。
 上司という存在の嫌な部分をぎゅっと凝縮したようないけ好かない人物。
 あー、こんなのいるいる、という感じです。役者さんが上手いと思います。
 16話「信念」ではカーターの患者に対して誤診をしますが、誤診が分かってからの行動は素早かったです。
 よくできた上司とも思います。
 ただそのあと、カーターがアンスポーの指示に従わないことがあって、アンスポーはそれを根に持ったのか、カーターを冷遇します。
 カーターが悪いので、それは仕方がないかなと思います。

ケリー・ウィーバー
 ウィーバーは足が悪いですが、本当によくできた脚本だなと感じます。彼女の足が正常なら、これほどのインパクトはないです。
 嫌われ者ですが、自分は比較的好意的な感情を持っています。
 女版ベントン。

ジェニー・ブレ
 ERアシスタント。
 基本的には好きなキャラですが、今シーズンではどっちつかずというか、分かれた旦那とよりを戻すのは印象が良くないです。

キャロル
 ER婦長。どや顔婦長。
 診療科からの応援の看護婦(ロンダ)に対して当たりが強いと思いました(S2、エピソード6)。
 ロンダにERでの経験がないなら初日からの数日間は見学をメインにさせるべきです。もしくは、簡単なものを任せるのが妥当です。
 いきなりERに来て即戦力になれるはずがないです。
 事情を知らない人間が即戦力になれるのであれば、キャロルたちのERでの価値はそれだけ低いということになります。
 挙げ句の果てにキャロルはロンダに「ERには向いてない」と宣言します。
 使い方が悪いんじゃね? と自分は思います。

 自分は調理師として長く勤務しましたが、他の店舗に応援に行って、即座に動けたりはしません。何がどこにあるのか、それを確認して覚えて、それから全体の流れを把握しないと動けないです。
 ネギの場所がどこにあるのか、調味料がどこにあるのか、すぐに分かるのならエスパーです。
 診療科のあのおばさん(ロンダ)はなんら悪くないと思います。
 キャロルの使い方が悪いだけ。
 
「ERには向いてない」というのは、2週間ぐらい様子をみてから言うべき言葉です。あれはもうキャロルの年上いじめです。
 無能キャロル! あんなのが婦長なんてレベルがしれてます。
 ジェニー・ブレに対しての評価も低かったし、婦長向きではないです。

 キャロルは停職になって、婦長代理はヘレエが務めますが、婦長という役職は作中ではそうとうに難易度が高いようです。個人的には慣れの問題と思います。

 ER関連は以下をご覧ください。
海外ドラマ「ER」シーズン1の感想
海外ドラマ「ER」シーズン2の感想
海外ドラマ「ER」シーズン3の感想
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