表題作「暁のひかり」は大好きな短編小説です。
時の流れ、人生の儚さ、無情さを痛感させられました。
切ない物語です。
読んだあと、モヤモヤとした気持ちになりました。
後味は決して良くないけど、また是非読みたい、と思ってしまいます。
つぼ振りの市蔵の「もしかしたらまだ自分はまっとうな生き方もできるんじゃないか」という、淡い期待というか、夢が、ちょっとしたことでもろく崩れ去る。
そして少女との別れ。
そのあとの展開も、読んでいて、身につまされるというか、悪魔に魂を売った、というか、そんな感じで、真に迫っていると感じます。
ラストは、もう壺は振れなくなるんだろうなと。
その先に、何があるのか。
人はこうやって落ちていくのかな、と思ったりもして、哀しい気持ちになりました。
他に5つの短編が収録されています。
コメディのようなものも含まれ、内容は色々です。
けど基本的には切ない物語が多いです。
昭和54年刊行で、古いですが、そんなことは全然感じさせないほどの読みやすさ。
時代小説好きならお勧めできます(時代小説が好きで藤沢周平を読んだことがないのは珍しいかもしれませんが)。
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