読書感想「ドロレス・クレイボーン」スティーブン・キング著

「ドロレス・クレイボーン」は全編モノローグ(独白)の長篇ミステリー

 スティーブン・キングの「ドロレス・クレイボーン」を読みました。
 全編独白で語られる長編小説です。
 最初の数ページは違和感あるけど、その違和感がなくなれば、作品世界の中に入っている証拠かもしれません。
 一人の老女が語るのですが、登場人物が実際に存在するかのような存在感を出していて、しかも物語としても面白いです。
 ドロレス・クレイボーンは、スティーブン・キングの頭の中に存在する老女ですが、そんなことは微塵も感じさせません。

駄目亭主がくせ者

 ダメ亭主がいい味出してます。
 映画版「黙秘」も名作だと思います。
 映画はドロレスの娘がクローズアップされてましたが。
 ドロレス役はキャシー・ベイツでした。

「ドロレス・クレイボーン」は比喩が素晴らしい

 小説版に話を戻して――比喩が素晴らしい。
「足の裏にとげの刺さった雌ライオンみたいにイライラ」
 とか、
「ラジオをいじくり回すチンパンジー」
 など。

雇い主ヴェラと、雇われ人ドロレスの関係

 ドロレスと、その雇い主であるヴェラの関係が一筋縄ではいかないところに人生を感じました。
 腐れ縁という表現が一番しっくりと来るかもしれません。

 あと、少しネタバレですが、ドロレスは夫殺しでは周りに疑いはされたけど、逮捕はされなかった。
 けど、ヴェラが自殺した時は、その行動を疑われて逮捕されてしまう。
 この点に、人生の上手くいかない感じがよく出ていたと思います。
 アメリカの片田舎の物語で、日本では馴染みがないけど、そんなことはどうでもいいと思えるリアリティと人間模様でした。

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