「ミニヤコンカ奇跡の生還」感想


「ミニヤコンカ奇跡の生還」を読みました。
 1983年刊行。
 たぶん、本人が書いているのではなく、代筆の人がいると思います。

 レビューを見ると、文章が上手とか、下手とか、いろいろと賛否両論がありますが、プロの文章ではあると感じました。
 だけど、なにせ古いです。古いタイプのプロの文章。加齢臭が強い。
 詩寄りの散文です。
 もう少し押さえたら、ちょうど良いのかなと思います。まあ時代もあるでしょう。 
 文章が気取りすぎです。

 内容も古さを感じました。
 展開がかったるいです。
 最初に遭難する場面を書いた方がいい…なんてケチを付けると何でもありになるけど、頂上手前から始まって、頂上、下山、遭難という流れで、所々に回想のような場面が挿入されます。これが冗長です。やっぱりこれは古さなのかなと思います。

 パートナーが亡くなった件については仕方がないです。
 自分が大事です。自己責任です。

 山を登る意味がよく分からないです。
 昔、人から勧められて「神々の山嶺」を読んだけど、やっぱり意味が分からなかった。なぜ山に登るのか理解できない。

「ミニヤコンカ奇跡の生還」では遭難の結果、パートナーは亡くなり、自分は両膝から下と指を失う。
 それでも身体が回復したら義肢を付けて山に登る。
 意味が分かりません。
 批判しているつもりはないです。純粋に、意味が分からない。
 山登りして、頂上で、ああ~気持ちいいね、空気がきれいだね、景色がいいね、というのは分かるけど、自分の身体や命、パートナーの身体や命を賭けてまで行うことなのかは非常に疑問です。
 難しいから価値がある、ということなのかもしれませんが。

 総合的には「ミニヤコンカ奇跡の生還」は面白い本でした。
 若干思ったような感じではなかっただけ。


「たった一人の生還―「たか号」漂流二十七日間の闘い」のほうが面白かった。

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