木内一裕「飛べないカラス」感想


 木内一裕著「飛べないカラス」を読みました。

 小粒な作品だろう、しょーもない物語だろうと読み始めたら、意外と面白かった。
 名作、傑作とはいえないかもしれないけど、凡作というには惜しい。

 ストーリーに難があるところはあるけど(1億円横領)、創作としてはあり得る話です。
 何より、主人公が変化するところが素晴らしい。
 最初と最後でがらりと変わって、希望も持てる終わり方で、読後感も良いです。

 物忘れの多い主人公ですが、記憶力が低いというのは、シンプルにバカである可能性もあるけど、基本的に強い人間というのは記憶力が低いものだと自分は考えています。
 弱い人間ほど、記憶力が高い。
 なぜなら、弱い人間は記憶力で肉体的な強さを補う必要があるから。
 強い人間は、忘れっぽくても問題がありません。

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