自衛隊の射撃訓練で発砲事件

 2023年6月、岐阜市にある陸上自衛隊の射撃場で自衛官候補生が教官たちに発砲する事件が起きました。
 亡くなられた自衛官の方々に哀悼の意を表します。

 関係者ではないので、実際のところは分からないです。
 以下は個人の予想を含みます。

 亡くなられたのは一等陸曹のかたということで、区隊付きと呼ばれる、区隊長を補佐する隊員だったと思われます(区隊長かもしれませんが区隊長は幹部自衛官のはず)。もう1人は25歳の三等陸曹とのことですから班長だったのだろうと思います。
 防弾チョッキを着ていなかったそうですが、陸自の防弾チョッキは、素のままだと小銃弾は防げないです。戦場で使用する際はプレートを入れることになっています。
 ちなみにプレートなしで重量は5キロ。
 装着すると重いです。プレートを入れると12キロ。それで戦闘行動なんて本当にできるのかなと疑問に思います。

 射撃の場合、射手は通常、防弾チョッキを着込みます。プレートは入れません。
 新隊員教育の射撃訓練では、防弾チョッキを着るのかどうかは分かりません。

 上は鉄帽と呼ばれるヘルメット、上下迷彩服、下は半長靴、弾帯、サスペンダー、弾のうシングル二つ、ダブル二つ、救急品袋、水筒、銃剣を装備します。
 その上から防弾チョッキ(自衛隊では「アーマー」と言うのが普通だと思います)、加えてガスマスクも携行します。
 近接射の際は、クリアサングラスも装着します。
 あとは耳栓。

 射場内では、射撃係幹部の号令に基づいて行動します。
 射撃の準備が終わり、これから射撃訓練を開始するとき射撃係幹部は「ぜんぶ一緒っ、気をつけっ」で、現場の最も上の長(通常は中隊長)に正対し、敬礼し、長が敬礼を返し、射撃係幹部は「ただいまより射撃訓練を実施します」と報告、また敬礼、という流れです。

 射群というのがあり、射群ごとに射撃します。
 1射群あたり6名前後。射撃場によっては10名を越えることもあります。
 1射群から、7射群前後まで、場合によって12射群とかあります。
 流れ作業で撃っていきます。

 射撃訓練は大変です。
 朝も早いです。営外者勤務の自衛官なんて、夜中の3時に起床、4時に出勤、5時武器だし、6時出発、射場到着7時半、射撃開始が8時半からで、終わるのは17時過ぎ、駐屯地に戻るのは19時になったりすることも珍しくないです。
 駐屯地内に射撃場がある場合は早起きはしなくていいかもしれませんが。

 射撃の種類は、小銃では、普通射撃、近接射撃、激動後の射撃(走った後に射撃)などがあります。

 射群の話に戻して、1射群が射座に入ると、2射群が待機線で弾倉などの準備を行います。
 弾薬の交付を受けて、弾倉に弾を込めます。
 通常だと、9発入り弾倉ひとつ(ゼロ点規制用)、5発入り弾倉を四つ作ります。弾倉は箱(蓋なし)に入れます。9発入り弾倉は向きを変えて、目立つようにしておきます。
 野外用の折りたたみ椅子があるので、そこに腰掛けて待機します。

 1射群が撃ち終わって、薬莢返納、安全係の点検を受けて射撃場から出て行くと、射撃係幹部が「2射群、銃取れ」と号令を掛け「銃と弾倉をもって射座まで前へ」などと号令を掛けます。

 1射群が射座で射撃の準備、または射撃をしているとき、2射群は待機線でただ座っているだけなので、自由はないけれども、そこで何かしらの行動を起こすことは可能だろうとは思います。
 射座では、射手1人に射撃係がつきますし、射撃係の号令に基づいて動きますから、変な動きは出来ません。

 これからは、待機する射群の射手にも、射撃係を付けて、作った弾倉は、射撃係が管理するようにするほうが安全なのかなと思います。
 射撃訓練が更に大変になるのは予想できます。

 手順や安全管理などに、問題があったとは思えません。
 小銃に弾を込めて撃つという行為は、意志を持って行えば可能です。
 射座でも可能だと思います。

 今の自衛隊は、パワハラやセクハラに対して厳しいです。
 ましてや新隊員教育隊でパワハラがあるとは個人的には思えないです。
 基幹隊員にしてみれば、自衛官候補生は親御さんから預かった大事な子息、という意識が強いはず。

 交番で新人警察官が上司の警察官を撃った事件がありましたが、その事件を思い出しました。
河瀬駅前交番警察官射殺事件

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