ドラマ「高校教師」を観た感想

注意書き
 ここで述べるドラマの「高校教師」は、真田広之さんと桜井幸子さんが主演の1993年版についてです。
 リメイク版「高校教師」は未視聴です。

 ドラマ「高校教師」がAmazonプライムビデオに対応していたので視聴しました。
 おそよ20年ぶりぐらいの視聴です。
 最初は、感想とかは書くつもりはなかったけど……これが予想以上に面白かったです。
 思い出補正もあると思います。
 当時は入れ込んで観てたし、野島伸司さんの書いた小説版も読みました。

「高校教師」の内容ですが、高校教師と、女子生徒との恋愛を描いています。
 ベタだし、演出のやり方によっては大失敗という可能性もあると思うけど、細部まで作り込まれた脚本と、主演の真田広之さん、そして脇を固める京本政樹さんや赤井英和さんが良い演技で、しっかりとした世界を作っていると思います。
 ヒロインの桜井幸子さんは、可愛いけど、演技は若干微妙な点はあるかなと思いました。
 10あるうちの、2~3ぐらい。
 とはいっても出演場面が多いので、その分粗が目立つのかもしれません。
 あと、真田広之さんとの出演が多いから、やっぱり違和感があるのかもしれません。
 真田広之さんは演技力がずば抜けて高いとは思わないけど、それでも不自然さは皆無でした。
 さすがベテランといったところです。
 桜井幸子さんは、やっぱりそういう本職と並んで演技をすると、どうしても不自然さは出てくるものかもしれません。

 演技について、赤井英和さんは下手くそ的なことがどっかで書かれてありましたが、自分は全くそうは思いませんでした。
 さすがに「ものすごく上手い」とまではいきませんが、少なくとも役柄にぴったりで、違和感もほとんどありません。
 もし赤井さんが、羽村先生役とかだと変だったと思いますが。
 という意味では適材適所の配置だと思います。

「高校教師」は若いときは、羽村先生に共感して、年をとると(プラス娘がいるような境遇なら)、マユの父親である二宮恭介に共感できるようになるかもしれません。

 持田真樹さんが相沢直子という役で、二宮繭の親友として登場します。
 京本政樹演じる藤村先生はイケメン役で女生徒に人気があるけど、相沢直子をレイプしてそれを撮影して、その撮影したビデオで脅迫して無理矢理関係を続けるという三流官能小説みたいな流れがありますが、これが真田、桜井のカップルと対になっている部分があって、物語全体を引き締めるのに役立っていると思います。
 体育教師が赤井英和演じる新城先生で、妻には逃げられて、息子は神経に障害があって足が自由に動かせない設定です。障害は後天的なものですが、新城先生に原因があると書いてしまっていいものかどうか。
 息子の子役がカワイイです。

 相沢直子は、藤村先生にレイプされて、心と体に傷を負いますが、あるきっかけで新城先生と仲良くなります。
 新城先生は、ラ王を2コ食べるつもりだったようです。
 当時、ラ王のCMに赤井英和さんが出ていたので、ラ王が出てきたのはその関係だと思います。
 相沢直子は、新城父子に救いを求めている。
 これは繭が羽村先生に救いを求めているのと同じです。
 相沢直子と、新城父子との関係は本作の見所の1つだと思います。

 暴力シーンが結構多いけど、これが痛そうです。
 本当に殴っているような場面が多いです。
 真田広之さんが殴られることが多いですが、さすがアクション俳優だなと思います。

 欠点があるとすれば、真田広之さんがいい男過ぎる。
 その点だけはリアルではないです。

 見所はたくさんあって、数え切れないぐらい。
 序盤は、やはり昭和50年発行の10円玉のエピソードだと思います。
 繭が羽村先生のパンを買ってあげたときのお釣りかなにかだったその10円。
 昭和50年というのは繭が生まれた年です。
 繭はその10円を記念にとっていたけど、後日、電話で羽村先生と話していた時、ちょうどテレホンカードが切れてしまう。
 ……ここら辺は時代ですねえ。
 繭はちょっと躊躇うけど、その10円を電話機に入れます。
 羽村先生に「ペンギンの話が聞きたい」と告げます。
 伏線として、羽村先生、大学教授の娘の婚約者にそのペンギンの話をしますが、その婚約者は、全くその話に興味がない様子。
 けど繭は、羽村先生のその退屈な話を聞きたがります。
 細かな演出だし、話の大筋にはあまり関係がないけど、それでもこのような丁寧な逸話がたくさん詰め込まれていて「高校教師」の世界観を構築していると思います。
 古いドラマだから大したことないだろう、なんて考えていたけど、全くそんなことはなく、現代でも通用するドラマだと思いました。
 思い出補正もある点は否定できませんが。
 かつて「高校教師」が好きだった人なら、見直しても損はないと思います。

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