クエンティン・タランティーノ監督作品「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の感想です。
想像していたより面白かった。楽しめました。
ディカプリオとブラピの演技は素晴らしかった。
ディカプリオは、タイタニックの頃はあまり好きではなかったけど、年を取って魅力が増したと思いました。
ブラピは昔から好きな俳優ではあったけど、本作では神がかっているとさえ感じました。
所々にタランティーノらしさはあって楽しめたし、総合的には面白い映画だと思ったけれども、古いハリウッド映画にそれほど興味がなければあまり楽しめないし、事前情報というか、実際にあった、ある殺人事件がモチーフになっているので、その事件のことが分からないと、シーンの意味がよく分からなかったりします。
この映画単体で考えると、いびつな構成や、必要ではないと思われる場面が目立ちました。
クリス(ブラピ)がダルトン邸のアンテナを直す場面、回想が入りますが、その回想の中で更に妻殺しの回想まで入るので、あの一連の場面を観て、1発目で正しく理解できる人はそうはいないと思います(たとえば漫画の場合、回想は枠外が黒になったり、コマ枠が点線、コマの角が丸くなったりするので分かりやすい)。
話の主軸が、ディカプリオのはずなのに途中でブラピの比重が高くなって、そこに隣家の映画監督の夫人が関わってくるという、よく分からないプロット。
そして敵役がしょーもないヒッピーたちで緊張感もないです。
ヒッピーたちは途中でブラピとトラブルになっていいようにやられてしまうふがいなさ。
敵は強大だからこそ面白くなるのに、ひょっとしてタランティーノって耄碌したのかな? なんて思ったりもしました。
・シャロン・テート
▲この映画はこの事件を知らないと楽しめないです。
この事件を知らないまま視聴すると、訳が分からない、退屈な映画と思えるかもしれません。
簡単に書くと、シャロン・テートは当時妊娠しており、人違いで母子共々、カルトに殺害され、シャロン邸の玄関には彼女の血でPIGと書かれていたそうです。
現実では悲劇、けれども映画ではハッピーエンド。勧善懲悪。
もし自分が関係者なら、あのラストシーンは号泣してもおかしくないです。
観る前は、ディカプリオとブラピが、タランティーノの演出で掛け合いしたり、アクションしたりで、悪く言えば軽薄な映画だろう、それほど楽しめないだろうと思いました。
一度観れば十分で、10年後ぐらいに暇があればまた観るか程度の、平均より少し上(もしくは少し下)の映画だろうと思いました。
最近、映画を観て面白いなんて思うことはあまりないです。
タランティーノの映画さえ例外ではないです。
2時間は冗長だし(本作は2時間51分!)、その割に内容が薄くて、どうでもいい映画ばかりです。
けれども「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は傑作だと思います。
2時間51分は長いけども、長さはあまり感じませんでした。
とにかくラストシーンが素晴らしい。
ダルトンやシャロンの視点ではなく俯瞰視点というのがいいです。
タランティーノの映画で好きなのは「パルプフィクション」「ジャッキーブラウン」だったけど本作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」も加わりました。
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