読書感想「アヘン王国潜入記」高野秀行著

「アヘン王国潜入記」を読みました。
 氏がミャンマー北部、反政府ゲリラが支配するワ州、アヘンを栽培している村に単身5ヶ月滞在(村以外は2ヶ月で都合7ヶ月)します。
 種まきから収穫までのケシ栽培に従事し、その様子をルポルタージュにまとめてあります。
 とにかく行動力がすごいです。

 本書は、高野秀行氏の作品の中でも1、2を争う傑作だと思います。
 日本では売れなかったようですが、著者自ら英語版の出版に尽力した結果、海外では高評価のようです。
 文庫版のあとがきに、イギリス人ジャーナリストから「100年後、君はこの世にいないが、この本は古典として残っているだろう」と褒められたと書いてありますが、その通りになるかもしれません。
 資料的価値もさることながら、単純に面白い読み物としても一級品です。
 村民のキャラがいい味を出してます。

 食生活についての記述が特に良かった。
 現代の日本は飽食だと思い知らされました。
 何せ普段の村民の食事は赤米のおかゆのような料理です。
 町に買い出しに行って、上手くするとキャベツとジャガイモの炒め物が食べられるかも、という場面があって、毎日おかゆばっかりだったらさぞご馳走だろうな、と思いました。
 最初は驚きの連続、中盤では笑いあり、そして最後のお別れではホロリときます。
 最後まで読めば、ミャンマーという国が少しだけ身近に感じられるかもしれません。
 異国の体験記、冒険記が好きなら読んで損はありません。

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