東野圭吾著「容疑者Xの献身」


「容疑者Xの献身」を読みました。
 本格推理なのかどうかは少し引っかかるところがあります。
 かといって、人間ドラマかというと、そういう側面もあるけど、トリックに比重を置きすぎて、純粋に楽しめない部分があったりしました。

 純粋に楽しめない部分については、まずひとつはヒロインに魅力を感じませんでした。
 そのヒロインに懸想する工藤という人物も人間味がないように思えました。
 なぜ石神が花岡を助けたのかの理由として、自殺しようとしていて、母娘に救われたとありましたが、現実味がないと感じます。

 自分の計画のために、見ず知らずのホームレスを殺したのも大きな汚点です。
 このホームレスも工藤と同じで(いや工藤より更に)人間味は感じません。パズルのピースのような扱いです。
 ヒロインに魅力があればまた違った感想を抱いたかもしれません。

 色々とミスリード(実は石神はストーカー)もあったりして、最後はどんでん返しがあり、また、石神の思い通りにはいなかったし、けどあの結末は、あれはあれで幸せなのかもしれません。
 石神の計画通りになっていたとしたら、最低のヒロインだったという意味にもなりかねませんから。

 随所に挿入される数学の蘊蓄は面白かったです。

追記
 映画版の「容疑者Xの献身」がネットフリックスで配信されていたので視聴しました。
 湯川先生は福山雅治さんで石神は堤真一さん。
 ストーリーはほぼ原作通りでした。

 原作と同じで、ヒロインには魅力が感じられなかったです。
 松雪泰子さんが悪いわけではないですが。

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