読書感想「痩せゆく男」スティーブン・キング著

食べているのに痩せていく……

 スティーブン・キングの「痩せゆく男」を読みました。
 ジャンルはホラー系ながら、男の友情の物語……というとちょっと違うけれど、とにかく友達は大事だよね、と思った物語です。
 ジネリというマフィアが「痩せゆく男」という物語のキモだと思います。

 主人公は弁護士のハリック。
 あるとき、食べまくるのに、体重は減少していくことに気づきます。
 当初は癌などの病気を疑いますが、実はジプシーの呪いだったのです。
 ハリックが、ジプシーの老女を車ではねて殺してしまったのが原因でした。
 ジプシーというのは、流民のことです。
 日本ではあまり馴染みのない言葉です。
 ジプシーの踊り子、とかはよくいいますが、各地域を移動しながら見世物をやってお金を稼いでいる、ということです。

 物語は破天荒というか荒唐無稽ですが、ぐいぐい引き込まれて一気読みでした。
 ジプシーの呪い、魔術と言い換えてもいいですが、中世的なオカルト。
 現代人のハリックは、中世の魔術をかけられます。

 迷信どころか、それが現実(食べているのに太らず、逆に痩せていく)になるのが怖いところです。
 ハリックは悩んだ末、現代版の魔術ともいうべきマフィアのジネリに助けを乞います。

 ジネリは、半ば楽しむように、ジプシーに復讐を行います。
 ハリック自身がライフル片手に怒鳴り込みをかける展開だったら面白くなかったと思います。

 現代と中世の、それぞれの魔術がぶつかりあうところが本書の見せ場です。

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