映画版「ザ・ファブル」の感想

 映画版のザ・ファブルを視聴しました。
 大人の事情のせいなのか、そんなに面白いと思えなかったです。
 自分は原作を知っているので、映画版はその漫画の世界観と合ってないように思えました。
 しかしあの世界観を、大人の事情その他の制約がある中で実写映像化している点は、素直に嬉しいです。

 漫画は抜きにして、映画だけをみれば、よくあるタイプの日本映画、またはVシネマ系の作品かなと思います。

 これは好みの問題ではあるけど……大人の事情のせいなのか、監督のセンスのせいなのかは分からないけど……役者さんの演技が過剰すぎて、見ていて小っ恥ずかしくなりました。
 特にヤクザ役の人たち。
 役者さんの問題ではなくて、演出の問題だとは思いますが。

 海老原はイメージと違いすぎ。
 キャスティングが良くないです。
 これは大人の事情があるのかなー分かりません。
 海老原は田高田社長役の佐藤二朗さんのほうが良かったように思います。

 浜田組長は、役者さんが無理に貫禄を出そうとして空回りしている感じがぷんぷんします。組長は普通のおじさんでいいです。その普通のおじさんに、若頭の海老原が頭が上がらない感じを出せてたら良かったのに。
 これに限らないけど、原作の良さを分かってないと思われるところが端々にありました。大人の事情でそうなったのかもしれないけど。

 小島、いきりすぎ。
 小島は懲役ぼけがあるので、寡黙(無口ではなくて、意味が分からないから結果的に何も話せない)で、おっかなびっくりしながら日常を送りながら、時々変なことで感情を爆発させるみたいな情緒不安定な演技を期待していたけど、実際は単にいきりちらすだけの、勘違い中学生みたいなキャラになっていました。15年懲役に行っていたので、規則正しい生活が身についているとか、トイレに行くにも許可を取るとか、いきなり自由な世界に放り込まれた戸惑いみたいなものがあってもよかったのに全くなし。出所するときに刑務官にいきり散らすというバカぶりです。役者さんは悪くないです。脚本の問題です。

 砂川、若すぎ。はげてなさすぎ。

 その他のヤクザの面々、メディアのいかにもなヤクザを演じすぎ。

 フードとコードも原作からすると変わりすぎです。特にコードはひどい。

 ヤクザの事務所などの舞台や出てくる小物も、やっぱりいかにもな感じで、もっと普遍的というか、庶民的な部分にヤクザが溶け込んでいるようなリアリティを見せて欲しかったです。
 ヤクザ=記号=じゃあこれでいいか、という安直なものの見方をしてるんじゃないかと思いました。
 やっぱり色々な事情があってああなったのかもしれませんが。

 佐藤明、洋子の兄妹はだいたいイメージ通り(若干年齢が上なのとハンサムすぎるのは除いて)で良かったです。
 良かったと言えばジャッカル富岡はイメージ通り。

 筋運びについては、ザ・ファブルという物語を、アクション映画にすることが無理があるように思えます。
 佐藤明の圧倒的な強さを、淡々と見せて欲しかった。
 この点は漫画版を知っているからこその不満点かもしれません。

 原作が良すぎるので、やっぱり比べるとどうしても映画版は粗が目立ってしまうようです。
 制約の多い映画という枠の中であれこれやるのは大変なんだと思います。
 原作を抜きにすれば、まあ悪い映画ではないのかなと感じます。
 役者さんの演技が過剰なのは、この手の日本映画はたいていはあんな感じなので、いつも通りと言えばそうです。

 ▲2作目のほうが面白そうです。トレーラーを見る限り、相当良さそうではあります。
 ……鈴木が、本作の小島のような勘違いキャラにならないか少し心配ではありますが。

 映画は、2021年6月18日より公開されます。

追記
 3作目もあるようです。
 山岡が心配です。
 脳の扁桃体がイカれており、恐怖を感じないキャラ。
 漫画だとそれほど違和感はなかったけど実写であれをやると……一歩間違えると痛いキャラになりそうです。

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